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フルカスタムの
ウクレレ製作に挑戦! その12



『その12』は、ハワイアン・コア ウクレレ第二弾だ。途中までは第一弾と平行して作っていた、同じボディ・シェイプの姉妹器になる。
プレーシングその他の違いで、果たして音は変わるのだろうか。コア音色の傾向は健在なのだろうか。ちなみに、左がコア第一弾、右が今回の第二弾のプレーシングだ。
結構楽しみだったりする。

今回使った材料です。
ボディ
   サイド   ハワイアン・コア
   トップ   ハワイアン・コア
   バック   ハワイアン・コア

ネック、ヘッド  メープル

指板       パオロッサ

ブリッジ     ブビンガ

ナット      人工大理石

サドル      人工大理石

ペグ       グローバー


使用しているコア材は、コア第一弾に使った物と同じAAグレードだ。なかなか風合いのある木目だが、フレイム(杢)は第一弾の方が多い。
今回も、制作過程の一部を写真で紹介する。

ベンディングは結構楽しいのだ。なにしろ、これがしたくってフルカスタムでウクレレを作り始めたくらいだから。
が、今まではそのサイドのベンディングをかなりいい加減にやって来た。
でも今度はちょっと違う。結構シビアに調整したつもりだ。とはいえ、型枠がいい加減なので、それにも限界はあるのだが。
曲げた材は、型にあわせて一昼夜以上は置いておく。
今回は幅にライナー分の余分を持たせてあるので、乾燥後にライナー分を切り離す。
サイドが曲がったら、ライナー分を切り取った後、ヘッドブロック、テールブロックを貼って形にしていく。
特にテール側は隙間が空かないように注意する。
ヘッド側は、まあ、後でネックを付けるのでそれほど神経質にはならない。
外枠が形になったら、トップ側は平坦に、バック側はアールを付けて整形する。仕上げはライナーを接着した後で行うが、ここでちゃんと整形しておいた方が良い。
ライナーを接着する。毎回こんなハリネズミ状態だ。
いつもと同じ、バック側はソリッドなライニング、トップ側はカーフドライニングにする。
接着後、サイド材とライナーの段差が無くなるように、サンディングして仕上げる。
テールブロックは結構薄く作っている。

テールブロックに日付を書いてみた。
閉めたらどうせ見えなくなるが、だからこそ好きなことが書ける。例えば、片思いの彼女の名前とか、奥さん以外の女性の名前とか。いや、私は書きませんよ。
プレーシング用材。
こんな感じに削った。
接着面にも少しアールを付けて、バックに丸みが出るようにする。
バック側プレーシング、今回はボディを閉める前に接着する。
バックとサイドを接着する。
サイドの形が歪まないように、Fクランプで外枠に密着するように押さえている。
ここであまり無茶な強制をすると、トップを接着してボディを閉めるときに修正不能なゆがみが出たりするので、注意。
トップ側プレーシングは、こうなった。
ビミョー。
ソプラノサイズ程度なら、トップ側のプレーシングはシンプルな方が音量が稼げて良いのかもしれない。
でも、それじゃつまらないので、どうしてももうひと手間掛けたくなってしまう。
閉める前にラベルを貼っておく。ちょっとビンテージっぽく作ってみた。
やり残した作業はないか、ちゃんと確認して、閉める。
閉めたら、トップとバックの余分を削り落とすのだが、木目に沿って割れないように、凹部分には予め鋸で切れ目を入れておく。
こんな感じ。
切れ目を入れた部分から、注意しながらカッターナイフで削っていく。
ボディぎりぎりまで削ってしまう。
凹部分を削ったら、外周をすべて削る。カッター、カンナ、サンドペーパーなどを適宜使い分ける。
さてこちらは石膏ボードなどの縁を処理する『ジョイナー』
コの字型。これをカッターで切る。コの字の上下を切り離して、〓と|に分ける感じだ。
バインディング材を作るのだ。一本のジョイナーから、この形なら1.8mを二本取れる(失敗しなければ)。
切って、切り口を処理して、何とか使えそう。 似たようなパーツはDIY店に行けば色々見つかるが、少し柔らかめの材質がいい。色のバリエーションが少ないのが欠点か。
バインディングを巻く場合はトップ、バックの端っこの処理は神経質にならなくても良い。どうせ溝を掘るのだから。
今回バインディングを巻くのはトップだけ。だって面倒なんだもん。
ルーターで溝を掘る。
が、あれれ? ちょっと深すぎた。今作最大の失敗かも。
が、気にせずにバインディングを接着する。
う〜ん、ジョイナー切り出しバインディングにこだわらず、もう少し厚手のバインディングにすればしっくり行ったかも。後の祭りだいっ。
こちらはネック。ヒール部分にメープル材を接着する。20mm厚を三枚重ねて、60mmに。
ヘッド形状を考え中。楽しいひととき。
市販のウクレレはブランド毎に特徴的なヘッド形状をしたものが多いが、趣味で作るのに縛りはない。いつもとはちょっと違う形を模索して、、、。
結局、LYMANAを参考にさせて貰った(パクッた)。両脇を絞り込む形状は、初めてだ。
面倒なところはベルトサンダーでやってしまう。失敗しないように。
なぜか、いつも出来上がってみると最初のイメージと違うんだよなぁ。行き当たりばったり方式が良くないのか(良くないに決まっている)。
でも、失敗作という訳ではない。
フィンガーボードは、当初は黒檀だったのだが、フレットの溝切りで失敗して作り直しに。
パオロッサは、時々変わった木目が出ていて面白い木だ。『紫檀』と言っておけば高級感も感じられる(?)。
スケールは『第一弾』と同じ、380mm、14フレットジョイントの全18フレットだ。
ソプラノボディでも、このくらいのロングネックが音程の狂いも少なく、使いやすい気がする。
はい、指板のマークにはアバロン、やっぱりコアウクレレだから、これくらいは奢っちゃおう。
アバロンの裏には銀紙(クッキングホイル)が貼ってある。
ブリッジには、指板と色味の近いブビンガを採用。まだ削り途中。
こんなシェイプになった。ルーターでの溝の掘りやすさから、弦を結び留めるタイプにした。他意は無し。
ボディに乗せて感じを見ている。
あれ、ネックとボディを合体させている写真は無かったっけ?
まあ、いいや。フィンガーボード、合体!
この段階で、フィンガーボードをマスキングする。ブリッジの接着予定地にもテープを貼ってマスキング。
サウンドホールにはスポンジを切ったものを入れ、それで紙を押さえてマスキングとした。Famous制作過程でのコツをそのまま頂いた(三ツ葉楽器さん、ありがとう)。
ネックを軽く塗装中。
この前に、全体にサンディングシーラーを塗ってある。
ブリッジに穴開け完了。サドルも削った(高さ調整は、まだ)。
これはナット材。人工大理石『コーリアン』。韓国人とは関係ない(と思う。デュポンの商標)。
ブリッジを接着中。もう最終段階だ。
実はここに来るまでの塗装は、長くてつらい道のりだった(いつものこと)。使用したのはセルロース系のラッカースプレー缶だが、吹いては削り、結局三缶も使ってしまった。
弦を選ぶ。と言っても、選択に根拠がある訳ではない。強いて言えば、『見てくれ』、弦の色くらいか。
今回張ったのは、D'ADDARIOのJ53 Black Nylon のコンサートサイズの物。結構な長さがあり、スケール380mmだと、スタンダードがもう一本取れそうな感じ。


今回は、厚塗りツヤツヤが大分うまくいった。とはいえ、まだまだなところもある。塗装からブリッジの接着まで一週間も開けたのに、まだ塗装が柔らかい感じで、ちょっと失敗した。まあ、ここのところの湿度の高さじゃ、乾かないわなぁ。
まだ弦も安定していない状態だが、音質はコロコロと気持ちが良い。きっとこれがコアの音なのだろう。明るく快活な女の子、といった感じか。好みのタイプだな。

ピカピカの厚塗りだ。塗膜の厚みは0.15mm程度、といっても、ノギスで測ったから、いい加減。
いつものようにサドルは両面から削って弦長を微調整している。といっても、どれくらい調整すればいいのか分からないので、気休め程度にしかならない、かも。

ブリッジとフィンガーボードには、椿油を塗ってある。
バインディングが汚いなあ。
溝の深さよりも、わずかな隙間が目立つようだ。これも今回の反省点。
バックもピカピカ。
ネックの結合部は、マアマアか。大きな隙間は空かなかった(ここまで合わせるのに、かなり苦労した)。
結合部を上から見たところ。
サイドも結構ピカピカしている。
ヘッドの木目はあまりメープルっぽくなく、まるでアガチスみたいな感じ(安っぽい?)。
インレイ技が使えないので、ヘッドマークは(入れてみたいけど)無し。
いつものグローバーのペグ。
ネック全体を裏から見たところ。
ネックの方がボディより塗装が薄い感じがする(意図した訳ではない)。
向かって左がコア第一弾、右が今回の第二弾。
木目やフレイムの出方は左の方が良い。と言っても、所詮はAAグレードだが。
それにしても第一弾のボディはゆがんでいる。わざと曲げている訳じゃない。元は左右対称、になるはずだった。
だから今回はベンディングで手抜きせずに作ってみた。これでも同じ外型で作っているのだ。
バックの木目も第一弾の方がメリハリが効いていて良い。
バインディングの色でずいぶん感じが違う。



バインディングの色の違いが大きいのか、第一弾と第二弾では結構見た目の印象が違う。勿論、木目や塗装も違うのだが、クリーム色のバインディングの第一弾より、今回のジョイナー切り出しバインディング(焦げ茶色)の第二弾の方が高級感があるような気がする。
音色、音量についてはまだ何とも言えないが、よく似た傾向だとは思う。





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