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フルカスタムの
ウクレレ製作に挑戦!



全音のキットを二本製作して、次はいよいよフルカスタムです。
皆さんも、側板を曲げてみたいと思いませんか? 思うでしょ? でしょ?
そういう訳で、思い切って通販でベンディングアイロンを買ってしまいました。
購入したのはアメリカのStwart-MacDonaldのものです。一緒にフレットワイヤーやマホガニー(今回は使わなかった)の板なども買いました。

さて、初めてのフルスクラッチでの製作です。あまり多くを望んでも無理というものです。そこで、今回の目標は『ウクレレの形をしている』『一応、音が出る』の二点位にしておきましょう。
正しい(?)製作手順などは他のホームページに譲るとして、ここでは主に私の失敗を書いてみる事にします。
さあ!ウクレレを作ろう!!

材料ですが、基本はホームセンターで手に入るもの、です。
ボディ
   サイド   朴    3.0mm厚
   トップ   アガチス 1.7mm厚
   バック   アガチス 1.8mm厚

ネック、ヘッド  メープル

指板       チーク  3.0mm厚

ブリッジ     チーク

ナット、サドル  マイカルタ

ペグ       グローバー

パーフリング   桧

ブレーシング   桧

ライニング    朴
まあ、こんなところでしょうか。そうそう、ベッコウ柄のセルバインディングを巻いてあります。


モールドを作る

10mm厚の合板を糸鋸でくり抜いたもの二枚にスペーサーを挟んで接着しました。写真で見てもいい加減な作りが窺えます。
その後、、サイドのベンディング時にこれでは使いにくいので、結局左右に分割することに。
後にいい加減な作りがあだとなり、完成したボディが歪んでしまいました。
教訓
モールドは左右対称に作ろう! 歪んだモールドは歪んだボディのもと!


こちらは別のモールド。参考までに。


側板を曲げる

サイドのベンディング、これがやりたかった訳です。が、手順がよく判りません。そこで先ずは3mm厚のアガチスを15分ほど水に浸けてから、曲げにトライ!――んがっ、曲がってくれません。悪戦苦闘の上、ようやく曲がったと思ったら、皺が寄ってしまう。こっこれは難しい。
二日間トライして、結局サイドには朴を使う事にしました。朴材は大変曲げやすい材です。が、スプリングバックも激しく、放っておくと直ぐに元に戻ってしまいます。
教訓
材は曲げる前に2時間以上は水に浸しましょう。
3mm厚のアガチスは曲げにくい。3mm厚のマホガニーも皺が寄った。……曲げにくい時は薄くしましょう。サイド材の厚さは2mm以下が適当か。


ヘッド、ネック

今回は10mm厚のメープルを使用しました(写真上側はアガチス)。これを端から130mm程の所で14度の角度で切断し、反転して接着します。ネック部は厚みが足りないので板を二重にしました。ヒールには何だか判らない端材を使用しています。

ペグ穴ですが、今回使用するグローバーのペグは表が8mm径、裏が5mm径と、穴のサイズが異なります(8mmで貫通させても問題ないでしょう、多分)。私は8mm/4mmの二段ドリルで穴を開け、その後5mm径のドリルで穴を広げています。もしかしたら、5mmよりも少し太めにした方がペグの回りが良くなるかも知れません。

この二段ドリルはナイフの柄をつける時のボルト穴を開けるためのものです。
教訓
材の入手が一番の問題か? 切断も難しい。ホームセンターで切断して貰うのが吉かも。


トップ、バック

3mm厚のアガチスは、東急ハンズでもユニディでもビーバートザンでも手に入る、とてもポピュラーな材でしょう。ということで、今回のトップとバックにはアガチスです。
これを今回は1.8mm程度まで薄くします。出来ればトップはもう少し薄くしたい所です。

アガチスはカンナが効きますので、結構簡単に厚さ調整が出来ます。

トップには、サウンドホールと、パーフリング用に2.5mm幅の溝も掘ってしまいます。

こういう時にはDremel社のルーターが定番らしいですが、愛国者(ビンボー人とも言う)の私は国産のツールでやっつけちゃいます。

リョービのTRE-40というトリマーです。付属のストレートガイドを使いますが、そのままでは小径の穴は開けられません。そこで、パーツの組み方を写真の様に変更します。その際、付属の蝶ねじは本体と干渉してしまうので、これを普通のナットに交換します。ベースのプレートを外し、ナットが回転部に干渉しない様に調整すれば、小径の穴も開けられます。ただし、トリマーの安定が悪くなるので、扱いには注意が必要です。それから、ストレートガイドのバリを落としておかないと、材に傷が付きますので、注意しましょう。ストレートガイドの材との接触部にセロハンテープなどを貼っておくと良いでしょう。

私はしっかり傷を付けてしまいました。それに溝も綺麗に掘れていません。
パーフリングには桧を入れてみましたが、ちょっと隙間が空いてしまいました。それ以前に、桧だけではちょっと安っぽいです。
教訓
トリマーの扱いに慣れておきましょう。
無理してパーフリングを入れると却ってみっともなくなる!(泣)



フィンガーボード

東急ハンズで見つけた3mm厚のチークを使います。これにフレットの溝を切るわけですが、私はピラニア教を使いました。
まず、拙作のフレット位置計算プログラムレレッと君をダウンロードします。これが無くては話になりません(^^ゞ
レレッと君で、フレット位置を計算、印刷しておきます。

これにチークの板を合わせてフレット位置をマークしていきます。
鋸の刃が深く入りすぎない様に、板をストッパーとしてサイドに固定しています。

実は、フィンガーボード作りでは失敗が沢山あります。
ピラニア教の刃厚が若干薄いために、フレットワイヤーがうまく入らず、かなり無理をしたら1フレット部で指板が切れてしまいました。でも、勿体ないので強引に接着しました。1フレット以外もうまく入らず、プラスチックハンマーでガンガン叩いたんですが、板は反るわ、フレットワイヤーの高さは不揃いだわ、直ぐに浮いてくるわで失敗続きでした。
結局、この指板は一度接着後にカンナで削って剥がし、新しく作り直す事になりました。
新しいフィンガーボードはハンマーで打たず、全てのワイヤーを二本のハンドバイスで押し込んでいます。溝切りにはピラニア教を使っていますが、こちらはうまくできました。
もう一つ、根本的な失敗は、スケールです。今回のスケールはなぜかハンパな362mm。しかし! これが大失敗! スケールって、ウクレレのサイズを考えずに決めちゃダメなんですね。今回のウクレレはカマカチックな、縦が短めのデザイン。そこに長目のスケールで12フレット繋ぎとしたから、サドル位置が後方に下がりすぎ、ちょいと弾きにくくなってしまいました。
教訓
スケールはウクレレのサイズを考えて決めましょう。または、ウクレレのデザインはスケールを考えて決めましょう。
フレットワイヤーを入れる時は、いきなりハンマーで打たず、ハンドバイスで押し込むとうまく行く。



ボディ

ボディを閉じる時点では、特に失敗はありません。ただ、湘南でも雪が降る寒い日でした。

今回は練習のつもりでバインディングを巻いてみました。トリマーで溝を掘り、ベッコウ柄のセルバインディングを巻きます。
その後、サンドペーパーで面を揃えます。
が、この時点で大失敗。まず、タイトボンドでは接着力が弱く、ペーパーがけをしていると剥がれてしまいます。結局、全部剥がして合成ゴム系のボンドで貼り直しました。それでもペーパーがけで一部に隙間が出来てしまい、隙間に楊枝でボンドを充填するはめに。どうやらペーパーがけで高温になったセルロイド(?)が伸びてしまい、剥がれたようです。

ボディ、ネック、フィンガーボードが揃いました。




完成
ナットには、作り置きのマイカルタ製のものを使っている。弦はマーチンのクリスタル・ナイロン。


作り直したフィンガーボード。


裏面。よく見ると塗装の失敗やら、バインディングの隙間とかも目立つ。


サイドは朴材。いずれ、トップとバックも朴の一本も作ってみたい。


側面もバインディングの隙間が目立つ。


ブリッジにはかなり昔に買ったチーク材を使用。チークは結構脂っぽいが、これだけ枯れていると脂も浮かず、接着に問題はない。
サドルも作り置きのマイカルタ。


サウンドホール。パーフリングの桧がちょっと汚い。


グローバーのペグ。さすがに全音のキットとは違い、調整がしやすい。





比較対象が自作の全音キット二本だけなんですが、音は比較にならないほど大きくはっきりとしています。
素人の勝手な想像ですが、ブリッジを後方に下げた事でトップの振動が良くなったのではないか、と考えています。以下は楽器も弾けない様な素人の戯言です。

ブリッジは弦の振動をトップに伝えますが、同時にトップの振動を妨げる働きもします。ブリッジがトップの中心に近ければ、それだけトップの振幅が抑制される事になります。
ブリッジをトップの隅に付けると、振動が伝わりにくくなりそうですが、トップに伝わった振動は直ぐにトップの中心方向に移動し、同時に振幅も増加しますから、それ程伝達効率は落ちません。縄跳びの縄の一端を固定し、反対の端を持って振る様な感じです。ブリッジ位置をずらす事で、むしろ、振幅を抑制する働きが弱くなるので、音の伸びが良くなり、音量も上がります。
……と、まあ、こんな風に想像しています。全然違うかも。

さて、音は大きくはっきりとしてはいるんですが、ちょっと尖った攻撃的な感じに聞こえます。これがアガチスの音なんでしょうか。
自己満足ですが、この一本は当初の予想以上に良くできたと思っています。でも、次に作る時はより良い物にしたいですね。色々と勉強になった一本です。

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